コーヒーの起源

北アフリカの別の部族は、コーヒー豆のポリッジ(おかゆ)を食べたり、コーヒーの実を発酵させたワインを飲んだといいます。

コーヒー豆の食用は日常的なものでした。

外部の人々が、その香り高い豆に激しい情熱を寄せるかなり前から、原産地内部に根付いていたようです。

伝統的にコーヒーを用いたガラ族などの民族は、コーヒーの起源について独自の物語を持っています。

西洋においても、自らの文化にコーヒーが入ってきた起源について伝説があります。

そこではコーヒーを神聖なものにしたり、掘り出し物にしたりと様々・・・。

ただ、どれもイスラム教と深く関連しているのです。

よく知られている伝説においては、エチオピアに住むカルディ(古代アラビア語で「熱い」という意味)という名前の若いヤギ飼いが、コーヒーを発見したとされています。

近くの枝の赤い実を食べたヤギが元気になることに、彼は気付きました。

好奇心から、そして自分も元気になりたいという思いから、その実をいくつか試食してみます。

うれしいことに、彼の疲れはあっという間に消え去り、エネルギーが満ちあふれてきました。

彼は興奮して、ヤギたちと踊りはじめたのです・・・。

カフェイン

コーヒーの原産地エチオピアに住むガラ族の遊牧戦士たちが、西暦575~850年のある時期に初めてコーヒーを食用とし、それが伝統的に続いてきました。

温かい飲み物にされるのはそれからずっと後、西暦1000~1300年になってからです。

もともとコーヒー豆は、砕いて動物性油脂の団子に加えられ、長旅や戦争の問の手軽なエネルギー源とされました。

コーヒー生豆に含まれる高プロテイン(飲み物にすると消失する)と組み合わされたこの油脂は、初期の「エネルギー補助食品」であったのです。

この初期のコーヒー調理の名残でしょう。

乾燥させたコーヒー豆(「ブンナ・ケラ」と呼ばれる)のレシピが、現代のエチオピアの料理本に載っている(火であぶったコーヒー豆に塩とバターを加え、たまねぎ、コロバ、ホワイトクミン、バジル、カルダモン、オルガノ、ターメリックで味付けする、と書かれています)。

カフェインが入ったこの濃縮滋養物には、戦争中に気持ちを高ぶらせ、野蛮な行為に導くという付加的な利点がありました。

社会的な飲みもの

広大なエチオピアの高原。

青々と茂った木々の枝や熱帯植物の葉が森林を覆っています。

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森林の地面は、この上なく多様な形態の生物によって満たされています。

高くそびえる木々の下では、すき間からのぞくほのかな日光に照らされ、小さな植物が成育しているのがわかります。

原始時代からの景観がそのまま残っているところもあります。

しかし数千年を経て、景観は少しずつ変わっているのです。

この熱帯植物のうちの一つが、世界のあらゆる場所の情景を変えました。

低木が生い茂る中でまったく目立たない、地味に輝く葉を持つ植物が、もともとの生息地から引き離されて世界中で育てられました。

あらゆる文化、年代に浸透し、文明化を導き、思想や行動を駆り立ててきました。

それこそがコーヒーです。

市場構造の変化

この1世紀の間、コーヒー業界は、基準価格であるニューヨーク「C」約定価格(多様な商品の等級を考慮した複合価格)に一喜一憂してきました。

しかしながら今日、コーヒー業者や消費者はますます、原産地や品種を考慮するようになっています。

同様に、彼らが購入するコーヒーの背後にある、環境や労働の問題を考慮するようになっています。

それらにともない、市場構造が変化しつつあります。

サステナブル・コーヒー(特に「バードフレンドリー」「有機」「フェア・トレード」コーヒー)が主流になるのを、倫理的消費者運動の成長が後押ししています。

大規模な主流のコーヒー会社でさえ、農民を助けたり環境を保全したりするオルタナティブなアプローチを試しています。

冷酷なグローバル化が世界中に広がる暗い光景の中で、少なくともコーヒー貿易の一部は明るい場所になっています。

その一方で、この数年間のスペシャルティ茶の成長と栄養ドリンクの出現は、非コーヒー飲料との新たな競争を生み出しています。


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変化のとき

1999年、コーヒー産業において多くの変化がありました。

無名国であったベトナムが世界第2位の生産国に成長し、コーヒーの世界規模での供給過剰の原因となったのです。

それはコーヒーの卸売価格を、史上最安値の水準にまで暴落させたのです。

このコーヒー危機は、すでに貧困状態にあった何百万人もの農民たちに大損害を与えました。

地球上に住む富裕者と貧困者を結び付いている役割を、コーヒー業界に再確認させたのです。

同時にスペシャルティ・コーヒー部門(1990年代に北米で発展しはじめたグルメ・ココーヒー産業)が、コーヒー産業全体のさらに大きな部分を占めるようになりました。

何千人もの新しい合った競争市場において、自らを目立たせようと張り合っています。

しかしながらこの部門の体質でさえ、だんだん均質になっているのです。

今やアメリカの半分のカフェがスターバックス社の店舗となりました。

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コーヒーはどこから来るのか その2

これらすべてをもたらすまでに進化したコーヒーの貿易システムは、経済、政治、そして真の権力が複雑にからみあった結び目、あるいは巨人(世界最大の超国籍企業、協力な政府、巨大な貿易カルテル)によって踏み固められた奇怪な競技場です。

収穫されてからあなたのカップにたどり着くまでのコーヒーの旅・・・

それは、結局のところそんなにまっすぐなものではないのです。

むしろそれは、国際商品の動力学の波や渦の中を進む、荒れ狂った予測不可能な旅なのです。

国際商品の動力学において、商品それ自体は、金と権力の流れの副次的なものとなっています。


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コーヒーはどこから来るのか

コーヒーの物語はまた、その他の商品(非合法なものも含む)の過剰さに・、わたしたちがどのように(そしてなぜ)影響を与えているのかを説明してくれます。

たとえば、コーヒーの初期の歴史と現在のマリファナ論争の間には、驚くほどの類似点を確認できます。

マリファナの利点に関する今日の国家レベルでの討論は、日が比較的浅いとはいえ、先の時代のコーヒーをめぐる論争の現代版だと思うのです。

それぞれの国における社会的な受容度は、宗教的、政治的な意見や、それらと対立する健康面の主張、制度化された文化規範、政府や民間企業への金銭的利益によって左右されています。

コーヒーの社会的な受容度の増加は、社会を構築する方法を規定する、利益と「事実」の繊細なダンスの重要性に光を当てています。

コーヒーは、アメリカのような裕福な国において熱狂的に消費されています。

しかし、地球上の最も貧しい地域においては、ごくずかな例外を除いて消費が伸びていません。

実際、コーヒーは長い間、貿易額が最大の合法的品目のひとつでした。

アメリカにおいてはいまだに、輸入額が最大の非アルコール飲料です。

また、世界中の数十力国で外貨収入の主要な源となっています。

あなたのカップのコーヒーは、地球の最も貧しい地域にある農村の貧困者と、直接的にそして明確に結び付いているのです。

人間の経験のひとつの端から、その反対側の端へと、空間と文化を傷って物的につながっているのです。

コーヒーの向かう場所

コーヒーほど大衆の情熱に火を注いだ消費財は、一握りにすぎません。

コーヒーは古くから議論の対象となり、何世紀にもわたって、数え切れないほど禁止と奨励の対象となってきました。

経済や人権、政治や宗教の戦場において・・・。

熱い闘争を引き起こしてきたのです。

コーヒーはおそらく、分かち合いのための飲み物でしょう。

しかし商品としてのそれは、保護主義、抑圧、そして破壊をまねきます。

その蒸気が立ち込めるかのような過去が、初期の植民地主義の時代においては高貴であったコーヒー豆を、様々な革命、ブルジョワジーの出現、不均衡な国際開発、科学技術の傲慢さ、グローバルな債務危機・・・

など、さまざまなことに巻き込むことになるのです。

これらの力が順番に、私たちの文化と経済にコーヒーを組み込む道を整えてきました。

例えば植民地主義は、コーヒーがグローバルに普及する主要な原因となったし、その普及の手段にもなりました。

つまり植民地権力が、コーヒーが向かう場所とそうでない場所を決定し、今日まで続く貿易関係を確立したのです。

コーヒーの役割

わたしたちの文化的景観の中で、コーヒーが特別な位置を占めているのは、おそらくこの理由によるのでしょう。

その消費のみに専念させる店が成り立つのは、アルコールの他はコーヒーだけです。

(実際どちらも、遠い昔からそうでした。)

しかしアルコールとは異なり、コーヒーはいかなる状況においても歓迎されますよね。

車から会議室まで、そして朝食の食卓から公園に至るまで・・・

単独で、またはあらゆるものと組み合わせて消費されています。

飲み物として受け入れられて以来、コーヒーはアルコールの代替物というより、正反対のものとして提供されてきました。

それはたぶん、場の雰囲気を楽しくする物質を人間が必要としたからでしょう。

その物質によって、友好的な社会相互作用が実現すると考えたのでしょう。

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コーヒーと社会

コーヒーは、1000年以上もさかのぼることができる古い商品です。

その時間軸を縦糸にし、世界中へと広がる空間軸を横糸にした、歴史のモザイク模様・・・。

その歴史は、16世紀カイロのとあるにぎやかなカフェから、18世紀オランダ植民地の奴隷制という人類の悲惨さへと広がります。

さらに19世紀ブラジルの急成長から、現代におけるスターバックス社のコーヒーハウス帝国主義へと広がります。

コーヒーというのは、それを構成する単なる化学物質にとどまらず、それ自体がちょっとした歴史なのだと思います。

そしてわたしたちは、それを熱狂的に消費しています。

世界中で1日に約15億杯ものコーヒーが飲まれているのです(アメリカ1国で、この5分の1が飲まれています)。

コーヒー豆自体が文化に固定されていますが、わたしたちにとってのコーヒー飲用も同様に、文化から切り離すことはできません。

コーヒーは基本的には、習慣性を持つ興奮剤です。

それでも息抜きや社交とのかかわりは深いです。

過度の刺激による興奮状態と、心が痛むほどの無意味さが組み合わさった社会のなかで、コーヒーとそれをめぐる儀式は、わたしたちが生き続けられるようにしてくれる潤滑油だと思うのです。

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