イニシアチブ
国または地方の一般住民が立法に関する提案を行うことをいい、「住民発案」とか「直接発案」と訳されるのが普通である。
具体的には、有権者が一定数の連署による請求を通じて法律の制定や改廃を提案する。
本来は、直接民主制の理念にもとつく制度であるが、間接民主制の下でも代表制の欠陥を補完する制度として多くの国で採用されている。
代表的な例は米国で、一八九八年のサウスダコタ州による導入に始まり、現在では二〇州と多数の都市で採用されている。
わが国では、第二次大戦後に地方自治法によってこの制度が導入され、地域住民は、有権者の五〇分の一以上の連署によって、地方公共団体の条例の制定あるいは改廃を請求できることになった。
こうしたイニシアチブによる提案の処理については、レファレンダム、すなわち有権者の直接投票によってその採否を決するとする国も多いが、わが国の地方自治法はこの制度をとらず、議会が議決すべきものとしている。石塚孝一氏によると、イニシアチブの意義としては、①地域住民に対し、自治体の政策や条例に関して意見を表明する機会を与える、②有力政治家と結託した少数派に対抗して、住民の多数派がその希望する政策を実現することを可能にする、③議会が多数有権者の利益を考慮して、政策を決定するようにしむけることができる、④住民の地方自治に対する関心を高めるなど啓蒙的な役割を果たす、などの点があげられる。